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1スレ763-772 (無題) / 1スレ758(ID:xzhZYgoN)氏

人間の男に囚われ、囲われてから1年が過ぎた。
二月前、男の5つ年上だった兄が死んだ。以来繰り上がる形で長男の立場に立たされた男
はそれまでの無気力が嘘のように働き、顔色には生起が甦った。
そのころ男と私はひとつの褥で寝起きしていて、少なくとも肉体的な意味において私は確
かに男のものだった。
男は私に人間の女と同じものを要求していた。

ある満月の晩、男は店の仕事が長引いて遅くまで部屋には戻って来なかった。
近頃では珍しい事でもない。一人で夜具を整えて先に寝る事が頻繁になった。こういうと
き男はたいてい夜中に戻ってきてこそっと褥の中に潜り込み、私を後ろから抱いて眠るのだ。
朝は朝で私が目覚めるよりも先に起きだし、さっさと仕事に出てしまう。
なんとなく会話が少なくなった気がする。
淋しいとは思わない。いっそ気楽だとすら思っていたが、ただなんとなく、この所いつもの
自分とは何かが違っているような気もしないではなかった。
元気がない、男は時折そう言った。そんな事はない、そう言って流すのが常だったが、調子
が出ないのは確かだった。

どうせ今日も遅くまで戻らないのだろう、そう思って一人で手早く夜具を整えた。灯りを
つけたままにしておこうか少し迷って結局消した。暗闇の方がいくらか好きだと思う。
だが今日は満月だ。障子から透ける月の光がまぶしい程だった。

早く寝てしまおう、そう思った時、廊下に人が歩いてくる気配を感じた。男のものだとすぐ
に分かった。そもそもこの廊下は男以外の人間が出入りする事はほとんどない。
とっさに褥に潜り込む。寝入っているふりをした方が楽だと思ったからだ。このところご無
沙汰が続いている。起きていると分かれば求められるかも知れず、それが面倒くさかった。


静かに障子の開く音がした。男が畳の上をゆっくり歩いてくる。
「……妖?寝とるんか」
男が枕元でささやいた。私が寝入るには時間が早いと思ったのだろう。
ひとつ息を吐いて男が褥の裾をめくった。背中に一瞬寒さを感じたが、すぐに男の熱に変わった。
肩を撫で髮に鼻を埋めて抱き締められる。うっとうしい。
「妖……」
耳元で男が呼んだ。
「起きとるじゃろ」
どきりとした。思わず目を開いてしまった。
体が硬直したのは男にも伝わっただろう。
「…なんでわかった?」
「あれ?ほんとに起きとったんか」
呆れたような声で男が質し、墓穴を掘ったらしい事を悟って頭に血が上った。
男に顔を覗き込まれ睨み返したがもう遅い。
「ははは、言ってみるもんじゃな」
「……うるさい。お前のせいで目が覚めたんだ。もう寝るぞ私は」
「ちょっと待って」
そう言って男が上から見下ろす体勢に変わった。
くちづけを1つ落とされる。
「やめろ」
「いやじゃ。やめん」
「眠いんだ私は…」
「いつも十分寝とるじゃろうが。たまには夜更かしに付き合ってくれてもええじゃろ」
「誰が……」
言いかけたが男の唇に封じられた。男の舌が口腔に侵入してくる。

舌を噛んでやろうとか、耳を引きちぎってやろうとか、いつも思うだけは思うのだが、結
局は何も実行できない。男に強く抗議する事すら出来なかった。
なぜかのかはよく分からない。結局いつも流されるのだ。
「ん……」
男の唇が離れ、細く糸が引くのが見えた。そのまま瞼、頬、耳と唇が優しく落とされ、や
がて首筋を強く吸われた。
「…跡は……、あまり、つけるな…」
「なんで。誰かに見せるのか」
そう言って鎖骨に歯を立てる。自分の噛んだ部分を舐めてみせ、そのまま顎もひとつ舐め
られた。
「馬鹿な事を…」
顔を背けて男に身を任せた。
着込んだ襦袢を肩からするりと剥ぎ取られ、胸が肌寒さにぶるりと震えた。
男の右手が左の乳房をゆっくりと揉み始め、左は男の唇で吸われた。舌で乳首を舐めねぶ
られ、甘噛みするように歯をたてられる。唾液をまぶされてわざとぬめりを作り、そこを
指でくにゅくにゅと押しつぶされると、腰の奥がジンと疼いた。
息をひとつ吐く。自分の吐息が熱くなっているのが分かった。
いたたまれずに腕で顔を隠すと男が笑いながら腕を取り、引き剥がした。
「顔、見せて」
睨みながら言い放つ。
「お断りだ」
しかし男は頓着した様子もない。
「またそういう事を言うじゃろ」
右の胸を揉みながら、男の左手が乱れた裾を割って下腹部に侵入してくる。
男の細いが無骨な指が内腿を這い、左足は撫で上げられて月明かりに露わになった。

「あ……」
そのまま下腹の深い部分に指が触れてくる。この瞬間だけはどうしても慣れない。瞬間
びくりと全身が震え、息を止めた。
「…濡れてる」
嬉しそうに言われて睨み返した。男の指がぬめりを掻き分け肉芽を捕らえると、優しく摘ま
れ擦り合わせるように愛された。
「…あ、いや、……あ、あ、……あ…っ」
か細い声が漏れた。
ソコがひくひくとのたうつ。意思ではどうしようもないものが押し寄せ、奥からはさらに蜜が
溢れるのを感じた。男がいじる部分からはくちゅくちゅといういやらしい水音が聞こえてきて
耳をふさぎたくなった。自分で出した蜜なのだ。
男のアレを想って切なく泣いている。
「気持ちいい?妖。なあ」
聞かれたって答えられるわけがない。男は笑っていた。
さらに激しくそこを弄られて、じんじんと熱くうねる波に呑み込まれたころ、指が離れてかわ
りに男の頭が埋められた。そこを口で直接愛撫される事は初めてではなかったが、とんでも
ない事をさせているという思いは消えない。
両足をはしたなく広げられ、膝は折られて男の眼前に全てを晒した。森にいた頃の自分にこの
痴態を告げたなら憤死するかも知れない。
こんな事を人間の男に許している自分が何より信じられなかった。
うっすらと生え揃った茂みを男の指がかきわけ、舌で亀裂をぴちゃぴちゃと舐めねぶる。
蜜を舐め取るようにしながら密やかに熟れて男を待っていた肉芽を露出させ、唇で摘ん
で転がした。
「あ、あん、いや、…あ、あん」
男の唾液と自らが吐き出した透明が混じり合い、そこはもうぐしょぐしょだった。

時折ぬめりの中に男の舌のざらつきを感じて声が洩れる。啜られ、舐めとかされると、
もう声が抑えられない。
鼻にかかった声が洩れる。甘えたような声。自分でもどこから出ているのか全く分からなった。
男の髪を掴み、切なさに身をよじった。
熱いソコからはとめどなく蜜が溢れ、よじるように腰を動かすと男が顔を上げた。
「…もう欲しい?」
中指を浅く埋められ、くちゅんと音がした。
「あ…っ」
「欲しいんじゃったら、……」
身を起こした男に上半身を引き上げられ右手を取られた。何のつもりか理解できずきょとんと
していると、そのまま掌を自分の下腹部に押し付けてくる。さすがに驚いてとっさに腕を
引いた。触らされたのは初めてだった。
「なに考えてる!」
「……、いや?」
「……嫌に、決まって…」
力が入らない。これまで常に男の主導で抱かれた経験しかないので驚いたが、しかしここまで
されておいて今更手が触れた程度でここまで動揺する己が恥ずかしい気もした。
「してほしい、妖。なあ、どうしても駄目か?これだけ頼んでも?」
「…………」
「頼む、なあ、今日だけでもええから」
土下座せんばかりの勢いで男が拝み倒してくる。この通り!と手を合わせられて気持ちがぐら
ついた。
「…………手、で……?」
消え入るほど小さい声で問い質す。
「ああ……、えっと、できれば口で」
「…………っ!」
冗談じゃない、なんで私が、私を誰だと思ってる。言いたい事は山ほどあったが、それより
早く立ち上がった男が裾をくつろげ、眼前にそそり立った性器を突き付けてきて、言いたい
言葉は全て呑み込んでしまった。

迷った。絶対にいやだ、出来ない、そう思っていたがいざ目の前に突き付けられると、それで
散々愛されたソコが切なく疼く。それを嵌められ、突かれた時の甘い痛みを体が憶えているの
を恨めしく思った。
「な、妖、頼むから。一度でええから」
頭上から男の懇願が降ってくる。髪を優しく梳かれて顔をそこへ近付けられた。
「…………」
饐えた匂いが鼻につく。
「…本当に今日だけだな…?」
かすれた声で聞いた。もう一人の自分が、どうしてこんなにこの男に甘いのかと彼女を責めた。
「うん、今日だけじゃ。一回でええんじゃ。頼む」
「…………」
だがどうしていいのか分からない。
震える手で男のものを握ってみたが、勝手が判らずに逡巡した。舌の先で男の亀頭に触れてみた。
ぺろ…と一度舐めてみる。
男のものがぐっと大きくなったのが分かった。
「手も……、こすって」
熱く濡れた声で言われ、おずおずと手のひらを動かした。手で擦り上げて鈴口に滲んだ先走り
を吸い、ぺろぺろと一心に舐め上げた。
男が熱く息をはいた。
気持ち良さそうな吐息を聞くと胸の奥が疼いた。
なぜなのか分らなかったが、もっとしてやりたいという気持ちが湧いてくる。
「くち…、なか、入れて、妖」
ぺちゃぺちゃとカリの周囲を舐め、裏筋を舌先で細かく舐めとかしてやると更に汁が溢れて
きた。それを放置して今度は横から男のものを銜えた。
「妖、なあ、くわえて」
口の中でしゃぶって欲しいらしい。無視して竿だけを舐め続ける。

鈴口からはトロトロと男の体液が滲み続けていた。添えた手に塗れてすべりが良くなった。
男が限界を訴える。
「頼むから、なあ、先も……っ」
うるさい男だ。
仕方なく男のものを口に含んだ。じゅうっと吸ってやると男が息を止める。
「あ、だめじゃ、もう出る…!」
そこで口を離す。舌と男のものに銀糸が引いた。
「……妖…?」
「お前。……私の事は放っておく気か」
男は惚けたような顔をしたあと、泣き笑いのような表情になって言った。
「ハハ……、ごめん妖」
そしてまた押し倒される。


「あ…っ、あん、あ、う…、ん…っ。あ」v 膝の裏に手を入れて足を大きく広げられ、揺さぶられ胸を吸われて素直に喘いだ。
最初の頃は随分声を堪えたものだったが、今ではそれもやめてしまった。
「あ、あん、やだ、もう…、あ…っ、や……!」
「なにが…いやなんじゃ、こんなにしておいて……」
「あ……っ!」
男の左手が二人結ばれ合っている場所に触れた。指でいやらしくなぞられて背筋に痺れが
走り、嫌々をするように男の下で首を振った。
男の肉棒は容赦なく突き上げて来る。
「ほれ…、旨い旨いってしゃぶっとるじゃろうが…」
「もう…あ、あん…、…だめ、だめなん……、あ、あ、あ……ん」
固くしこった左の乳首をちゅうと吸われた。舌で舐め転がされると腰の奥に直接響いて男を
受け入れた部分がいっそう濡れる。

とろとろと蜜を吐き出しながら、男を誘って蠕動していた。
男のものが蜜壷の中で小刻みに揺らされると、腰が砕けて全く力が入らなくなる。受け入
れた場所がじんじんと疼き、腰の奥から熱いものが押し寄せた。たまらず男の首に腕を回
して引き寄せ、脚を自ら折り曲げて男の腰に絡ませた。より深いまぐあいをせがみ甘い声で
啼いてみせる。
「妖…っ、きつ…、そんなに締めた、ら」
限界が近かった。男のものを銜えた部分がひくつきながらぐちゅぐちゅと泡だっていた。
男の汗まみれの顔を見上げ、目があったとき、口づけて欲しいという思いが突き上げた。
何も考えられなくして欲しい。全てを奪って欲しかった。
「………っ」
男の唇がふいに重なった。侵入してくる男の舌を喜んで受け入れ、深く絡めて唾液を飲みこ
んだ時、男がいっそう深く奥で跳ね、一閃意識が遠くへ飛んだ。
視界は白く霞んで何も考えられず、びくんと一度痙攣したあと、二度三度とソコが収縮して
男のものを締め付けた。
それに引き摺られるように男も内部で熱い欲望を吐き出して果てる。
「あ………」
中で出される感覚に、ぶるりと体を震わせる。熱い飛沫を注がれてそこが嬉しそうに呑み込
むのを感じた。
男は激しく息をつきながら倒れこんできた。胸の間に頬を寄せ、息を整えている男の髪におず
おずと触れてみた。そんな事をしたのは初めてだった。ゆっくり髪を撫でてやると男が顔を上げ、
嬉しそうに笑った、その瞳に胸がずきんと大きく鳴り、落ち着かない気分になってふいに涙が
滲んだ。
「妖……っ!?」
ぎょっとして身を起こした男から顔を背け手の甲で目元をぬぐい、なんでもないふりをしたが、
一度流れ始めた涙はなぜか止まらずとめどなく溢れて来る。なぜなのか全く分からなかったが、
胸が痛んで仕方がなかった。

慌てた男があれやこれやと問い質し、理由も判らずとにかく謝りたおす様子を見ても、涙は
いっこう止まらない。
「ああ、妖、どっか痛かったのか…!?すまん、あんまり可愛いんでつい、ああ、なあ、泣か
んでくれ、妖」
男の声が胸の奥にじわりと溶けてゆく。
ふいに自分はもう駄目かも知れないと思った。
何かどう駄目なのか自問してみてもその答えすら見つからず、ただ男と出会う前の自分とは大
きく変化してしまった己の内部の何かが、とうとう決定的になったという思いだけ。だがそれ
で十分だ。
そんなものは見たくなかった。そんな自分なんか知らない方がよかったのに。
それなのにどうしてこんなに嬉しいのだろう、私は。

その夜は結局男の腕の中で涙をぬぐいながら眠った。男はずっと心配そうにしていたが、何を
聞かれても首を振るしか出来なかった。
こんな男。
こんな人間の男の胸にすがって泣く日が来るなんて。
自分はどうしたらよいのだろう。その答えのなさにはただ途方にくれるしかなく、
かつて森で暮らした日々、悩みなき昨日を思って泣いた。



終わり

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