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1スレ422-431 (無題) / 1スレ422氏

「ちょっと!!」
声を荒げた私を遠巻きに夜行の連中が見ていた。
大方『なんであいつが?』とか思ってるんだろう。
「ちょっと!しっかりして!!」
私の膝に倒れこむ大きな男を揺らしながら声をかける。
静かに生暖かい血が地面に広がっていくのが見えた。

自分自身なんでこんなに動揺してるのかわからない。


なんでこの男が私をかばったのかわからない。


閑寂な月光は障子の隙間から頭領と呼ばれる男の顔に一本の線を描いていた。
呼吸を繰り返すような自然さで男のまぶたが開く。
「…いたんだ。」
こちらを見るなりかすれた声で呟き、少し笑う。
「相当深く切れたみたいよ。あんたの背中。」
私なんか庇うから。
その言葉を押し込めて立ち上がり電気をつけようとした。
「いいよ。まぶしいから。」
「じゃあ…誰か呼んで来るわ。」
「?そうだめずらしいね。なんで君がいたの?」
嫌なことをつっこまれて背を向けた状態のまま押し黙った。
動揺していた私を夜行の人間が気遣ってか、看病を任される羽目になったとは言いたくない。
「気ぃ使ったの?らしくないね。」
立ち尽くし黙り込む私にからかうような好かない声が聞こえてくる。
どうしてこうもこの男は私の神経に触るのか。
「夜行から出たいんだけど。」
振り返りざま見下ろす形で唐突に言うと男は上半身を起こし笑顔のままこちらを見た。
あんなに深い傷をつけられたのになんなく起き上がることにぞっとする。
「なんで?」
「…こんな風に借りなんか作りたくないからよ。」
「はは、借りって。水臭いね。言ったろ?仲間には優しいって。」
その穏やかさがイライラする。アンタが嫌いだって言ってるのよ。
「もう私普通の人と変わらないし、ここにいた方が足手まといだと思うけど。」
「君色々調べるのうまいじゃない。」
「私が調べてきた情報ってあんたほとんど知ってるでしょ?」

そう言うと男は珍しく黙り込み考えるように指を顎に置いた。
「まだまだ利用価値があるから俺としては手放したくないんだよね。」
のんびりとした言葉にカッと血が上るのがわかる。
感情を押し込め努めて平常な声を出す。
「そう…。じゃああんたは烏森から利用価値がないって判断されたから
 こんな所ではりきって夜行の頭領なんかやってるの?」
嘲るように笑うと男から笑顔が消え真っ直ぐに私を見た。
ピンと張る空気。視線だけが交わりお互いに動くことも声を出すこともしない。

やがて男の笑顔でその空気は破られた。
目は変わらず鋭く、歪ませるような口の端だけ吊り上げる笑い顔でゾクリと悪寒が走りぬける。
「!!!」
圧倒的な威圧感にたじろき後ろの障子を空けようとすると、
見えない壁のようなものですっぽり包まれているのに気が付いた。
四角の透明なこの男の術。何度も見たことがある。が、中に入ったのは初めてだ。
震えを起こしそうな身体を押さえながら視線を戻すと、ゆらりと立ち上がった男が近づいてきた。
「君は…本当に何も分かってないね。」
ふっと結界が消える。それに身体を預けていた私は不意に寄りかかりをなくし、その場に座り込んだ。
「殺されないとでも思ってるの?」
見下ろされる体勢になると、もとより大きな男がより存在感を増し震えがきてしまう。

「!おっと。」
すばやく帯飾りを抜き男の足に向けて突き刺そうとするが、なんなく片手で押さえられてしまった。
「あっ…!!」
ぎりりと手首を締めあげられ帯飾りが畳みに落ちる。
痛みで閉じていた目を開けると、屈んだ男が飾りを拾い上げるところだった。
目線の高さが同じになる。
「これ…帯飾りだよね?こんな尖らせて。武器で持ってたんだ。」
笑う顔に悔しさで声が出ず、ただ睨む。
「さて、自由も奪われたし最後の武器はない。絶体絶命だね、春日さん。」
「殺せばいいわ。大嫌いよあんたなんて。」
荒い息の中、震えの止まった声で言い放つ。
「そっか。じゃあそうしようかな。」
そう言うと片手で印を結ぶ。

「君がいなくなると、あの鬼は生きていけないね。」
「!!!」
ヨキのことを言われ瞬間後悔した。

しかしすぐに感じた衝撃で『死ぬんだ』と目を閉じる。


気付いたら身体は倒され、天井を見ていた。
唇に感じるのは上にかぶさる男の体温。


渾身の力を込めて男を押し離そうとするがびくともしない。
なぞる様に重なる唇と絡まる舌を思いきり噛もうとしたのがばれたのか、
頬を指でつかまれ無理矢理口をあけさせられる。
容赦なく口内を蠢く太い舌は忠誠を誓わせるような荒々しさで、呼吸を続けるだけでも困難な状態だ。
男の唾液をコクリと喉に下すと自分がひどく穢れたような感覚を覚える。

もう一度強く押すと今度は難なく身体が離れた。
激しい憎悪を込めて思い切り頬に平手打ちを食らわす。
衝撃で背けられた横顔にうっすらと浮かぶ笑顔を見て、一層頭に血が上った。
私の行動を止めるくらい簡単だってわかってる。
殴れたと言うことはこの男から殴らせてもらったと言うこと。
何をしても、どう足掻いても手の平で転がされている感覚が何よりも歯痒かった。
「…どういうつもりなの?」
「言い負かされたからね。意趣晴らしかな。」
「だったら充分でしょ?離して!」
睨んだ目を笑顔で流し、あくまで静かな姿勢で私のはだけて出た足を男が見つめた。
嫌な予感が全身に走り、冷汗が浮かんでくる。
「な…」
大きな身体を押し付けられ、両の手を頭の上で拘束される。
もはや身動きが出来ない私の足に男の手が触れた。その手は形に添って這いながら付け根へと移動している。
「なに…?ゃ…いや!やめて!!!」
「着物っていいよね。俺好きだよ。」
掴まれていた大きな手が離れ、自由になった両手を動かそうとする。が、動かない。
驚いて見ると幾重にも重なった結界が両手と畳をしっかり固着していた。
血の気が引く私の顔を見ながら低く笑い、男の手はゆっくりと目的の場へ辿りつつあった。
逃げ場のないことを悟り声が大きくなる。
「やめてよ!!!!!」
「珍しいね君が取り乱すなんて。…!あやっぱり。下着はつけないのか。」
「!あっ!!ん!!」
ぐりっと弱い部分に指を強く押し付けられ、身体がビクンとはねる。
「いいね。春日さん敏感そうだ。」
喉元で笑うと激しく押し付けていた指を柔らかくし、ひだから敏感な部分まで撫でるように上下する。
自然鼓動が早くなり、呼吸も荒くなる。

唇を痛いほど噛み、クリトリスを交差するときにどうしても出てしまいそうな声を何とか押し込める。
「がんばるね。」
顔を引き寄せられ男の唇が重なってくる。
ゆっくりと入る舌は先ほどとは違い私の反応を見ながら柔らかく動いた。
下からくる刺激だけなら耐えることが出来たのかもしれない。
が、絶えず動く指と舌が同時に思考を溶かしていく。
「んっ…んぅ…。」
唇が開かれ、我慢していた声が男に塞がれた口から漏れた。
それがきっかけになったように身体が熱を帯び始める。

「……濡れてきた。」
離れた口からポツリと聞こえる。
カァッと全身が沸き立った。からかう笑い声が憎く、そんな男に朦朧としていた自分がおぞましい。
再び唇を噛み横を向くとはらりと涙が落ちた。
「あれ。」
悪気のない顔で覗き込む男。泣き顔まで見られるのは心底惨めだった。
「…殺してやりたい。」
視線を捕らえて言うと、男は予想外の表情をした。
小首をかしげて眉を潜め、泣きそうな顔で笑う。

ふと両手を押さえていた結界が音もなく消え、自由になった片手に男が先ほどの帯飾りを握らせた。
男の行動の意図が分からず顔を見た瞬間、突然ごつごつする異物が濡れた秘所の奥まで入ってくる。
「!?あっ!!んっんぁあ!」
「あぁ。指一本くらいなら簡単に入る。」
「やめっ…あっ!あっ!!」
「ここ好きなの?擦ると溢れてくるよね。」
男の指が一定の場所を擦りながら出し入れを始める。
次第に早くなる動きに身体が自然反り返った。
帯飾りを握ったままの手で男の両腕を押しつける。
「春日さん…。」
低く、切ない声。
やめてやめて。そんな風に呼ばないで。

浮いた背の下に太い腕を入れられ胸を突き出す格好になる。
もう片手が襟をつかみ強引に着物を引っ張った。はだけた着物から胸が露わになる。
もはや帯だけが腰部をまとい、着物は上も下もだらしなく開かれている。
「ふ。春日さん。その格好、すごくいいよ。」
「はっ…はぁ。ゆ、ゆるさ…ない。」
どれだけ保とうとしても気を抜くとすぐに意識が遠くなる。
私の言葉に少し笑うと男は乳首を口に含み、下半身の指を2本に増やしてゆっくりと動かし始めた。
「あぁぁぁ!!あっぅうっ!もぉ…い、ぃやぁっ…!!」
高まってくるのがわかる。早くなる男の指を拒絶するでもなく、むしろひくひくと次の行動を待ちわびている。
そんな私を静かに見ながら男の口が私の二の腕へと移動し、舐めて軽く吸った。
「あっあっ!……!!??ぅっ…んん!!」
与えられる快感だけに気をとられていた私は急に感じた激痛で二の腕を見る。
唇を離した男の下からくっきりとした三日月型の歯型が現れた。
目が合った男は少し笑うと着崩れた着物から両腕を抜く。私と同じく腰紐でだらりと留まる着物。
背の傷に巻いていた包帯があらわになり、なぜか心が痛んだ。

男が覆いかぶさり、生の肌の感触が胸に当たる。
硬くなった乳首を指でつまみながら首筋から耳まで舐め上げ、耳たぶを軽く噛み口に含んだ。
「殺してもいいよ。」
耳にかかる吐息と鼓膜を揺るがす艶のある声にゾクリとさせられる。
途端自分でも嫌になるほど溢れるのがわかった。
意思に反して飾りを握った手の力が緩む。
「あっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
突然男のモノが私の中心部から奥まで貫く。その衝撃で飾りは畳へと落ちた。
「ひど…いっ…っあぁっ!!」
「そうだよ。知らなかったの?」
咄嗟に感じた圧迫感で逃げようとする腰をつかみながら、荒く呼吸をする男は言った。
「でも、君今にもイキそうじゃない。」
そう言うと胸の突起を指で弄りながら何度も一番奥へ腰を打ちつける。

何も言い返せない。本当にすぐにでもイってしまいそうだった。
「ひっ…あぁ!あぁああっ!!」
イク、と思った瞬間になぜか私の中に入ったまま男の動きが止まった。
ずっと男に翻弄されていた私はここぞとばかり肩で息をしてぐったりとする。

温かな手の平が柔らかく頬に触れる感触で、ぼんやりと腕の先を見た。
男の視線と絡まる。
慈しむような瞳を見て不意に愛しい男のような気がした。
額に残る傷も。逞しい腕も。

どこかに残るわずかばかりの理性がそんなはずはないと呟く。

しかし常に感情のない男の目が、冷たい口元が、今快く温かい。
片手に指を絡ませ覆いかぶさってくる男を、まるでずっと愛していたような錯覚で思わず身体を引き寄せる。
背の傷に指が触れると一層心がざわついた。
呼応するように男の動きが早くなる。
愛情か憎悪かわからない何かの感情が、昂ぶる身体と共に激情となって身の内を波打つ。
それがなんなのかなんて。もう。
どうでもよい。どうでもよかった。
「あ…私っ…私、も…だめぇ、あっ!あぁぁぁっ!!」
がくがくと揺さぶられ感覚が追い詰められていく。

薄れていく意識の中で熱っぽい腕がしっかりと私を抱いたのは

あれは現実だったのか。

目を開けると自分の部屋にいた。
きちんと着物を着ていつもとなんら変わりはない。
「…夢。」
そんな言葉を呟き、狐につままれた思いで宙を見る。
ふと髪に触れようとした腕がきりりと痛んだ。
痛みの原由に視線が定まると静かに指でなぞる。


一色の肌がそこだけ赤く

中央には男の額と同じ三日月型の傷が未だ熱を持っていた。

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